はじめに
皆さんこんにちは!
今週のAKARI Tech Blogは、DX Solution 事業本部 DX Solution 事業部 Dev Nebula AIエンジニアの 笹田 が担当します!
今回は、リアルタイム3Dスキャンソリューション「XGRIDS」について紹介します!
最近では、建設業界のDX、製造業の品質管理、エンターテイメント分野など、様々な場面で「点群(ポイントクラウド)」データが注目されています。
点群とは何か? 何に使えるか?
そもそも「点群」とは、3次元空間上の無数の「点(Point)」の集まりで、それぞれが位置情報(X, Y, Z座標)や色情報(R, G, B)を持っています。この点の集まりによって、現実世界の構造物や空間の形状をデジタルデータとして精密に表現することができます。
活用例としては、
など、多岐にわたります。
点群取得におけるLiDAR付きの機器
これまで、私たちが業務で点群データを取得しようとすると、以下のような選択肢がありました。
-
- メリット: 非常に手軽。アプリで誰でもすぐにスキャンできる。
- デメリット: 精度や密度が業務利用には不十分な場合が多い。スキャンできる範囲も比較的狭い。
高価な据え置き型スキャナ(FaroやLeicaなど)
- メリット: 圧倒的な高精度・高密度。測量にも使われる信頼性。
- デメリット: 機器が非常に高価(数百万円〜)。スキャンに時間がかかり(1点ごとに三脚で固定・測定)、広範囲をカバーするには大変な手間がかかる。
「iPhoneのLiDARのように手軽にスキャンしたい。でも、業務で使うには精度と密度が足りない…」 「かといって、FaroやLeicaのような高価な据え置き型スキャナは、高精度だが高価で手間もかかる…」
iPhoneのような手軽さを持ちつつ、Faro(やLeica)に及ばずとも高精度・高密度な点群が取得できる——。
そんな「ちょうどいい」機器が欲しいなと思っていたところに、まさにそのニーズに応えてくれそうなソリューションとして「XGRIDS」が登場しました。
そこで今回、このニーズにピッタリとハマる可能性のあるソリューションとして「XGRIDS」を試す機会がありましたので、紹介します。
XGRIDSとは? 〜3つの大きな特徴〜
XGRIDSは、XGRIDS社が開発した高精度なセンサーと高度なSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を組み合わせた、リアルタイム3Dスキャンソリューションです。ハンディタイプのスキャナ(Lixelシリーズなど)を用いて、歩きながら空間をキャプチャするだけで、即座に3Dの点群データが生成されます。
XGRIDSには、主に3つの大きな特徴があると思っています。
1. リアルタイム・プレビューと即時生成
最大の特徴は、スキャンしながらほぼリアルタイムで点群データが生成・プレビューされる点です。
手元のデバイスでスキャン結果を即座に確認できるため、「スキャン漏れ」にすぐ気づけます。高価な据え置き型スキャナで「後で合成したらズレていた」とか、SfMで「PCで処理したら撮り漏れがあった」という事態を防ぎ、現場で作業を完結させることが可能です。この「手戻り」の不安から解放されるのは、運用面で非常に大きなメリットだと感じます。
2. 高精度と高密度
XGRIDSは、「手軽さ(歩きながらスキャン)」と「高スペック」を両立している点が最大の魅力です。
高精度: 機器のモデルや撮影場所などにもよりますが、相対精度(スキャンデータ内の歪みの少なさ)で約1〜2cmという高い精度が期待できます。これは、安価なデバイスでは難しいレベルです。さらに、RTK(Real Time Kinematic)モジュールを搭載可能な上位モデルでは、絶対精度(実世界の座標との一致度)も3cm以内に収めることができ、測量レベルの要求にも応えられるようです。
高密度: LiDARセンサーにより、毎秒数十万点(モデルにより毎秒20万点〜64万点以上)という膨大な量の点群を取得します。
安価なLiDARでは難しく、据え置き型では手間がかかるこの品質のデータを、歩きながらリアルタイムで取得できるというスピード感は、まさに強みのあるソリューションだと感じました。
3. 専用ソフトウェア「LCCStudio」による高速処理
XGRIDSは、取得したデータを処理・活用するための付属ソフトウェア「LCCStudio」とシームレスに連携します。 スキャンして終わり、ではなく、その後のデータクリーンアップや3DGS化まで含めた強力なエコシステムが用意されている点も、XGRIDSの大きな強みだと感じます。
実際にXGRIDSで取得・生成したデータ
「高精度・高密度」と言っても、文章だけでは伝わりにくいので、実際にオフィスをスキャンしたデータを見てみましょう。
XGRIDSで取得した点群データ
以下は、実際にXGRIDSで取得した点群データの例です。歩きながらスキャンし、リアルタイム(+短時間の後処理)で取得したとは思えないほど、細部までキャプチャできていることがわかります。


自動販売機がよく見えますね笑
LCCStudioによる3DGS(3D Gaussian Splatting)生成
さらに、LCCStudioの強力な機能として、最近大きな注目を集めている「3DGS(3D Gaussian Splatting)」の生成機能があります。
3DGSは、点群をベースにしながらも、AIを活用して非常にフォトリアルな3Dシーンを高速にレンダリングする新技術です。LCCStudioを使えば、XGRIDSで取得したデータから、わずかな処理時間で高品質な3DGSを生成できます。

点群データから、ボタン一つで手軽にここまでフォトリアルなシーンが作れるのは、活用の幅が大きく広がりそうだと感じました。
XGRIDSの活用シーン
これらの特徴から、XGRIDSは以下のようなシーンでの活躍が期待されます。
- 建設・土木: 施工管理、BIM/CIMデータとの照合、内装工事の見積もり
- 不動産: 室内プレビュー、バーチャルツアー作成
- エンターテイメント: ロケーション・ハンティング(ロケハン)、VFX用の背景アセット作成
- 製造: 工場ラインのデジタルツイン化、設備保全
まとめ
今回は、リアルタイム高精度3Dスキャンを実現する「XGRIDS」を紹介しました。
「高価で手間のかかるハイエンド機」と「手軽だが低品質なローエンド機」という従来の悩ましい選択肢に対し、XGRIDSは「リアルタイム性」「業務に耐えうる高精度」「手軽な操作性」をバランスよく実現する、まさしく「ちょうどいい」ソリューションの一つと言えるでしょう。
スキャンしてすぐに点群を確認できるだけでなく、LCCStudioを用いてフォトリアルな3DGSまで高速に生成できることで、現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)や、3Dコンテンツ制作の効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めていると感じます。
参考文献
[1] XGRIDS 公式サイト https://www.xgrids.com/?page=geomatics
[2] 3D Gaussian Splatting for Real-Time Radiance Field Rendering (元論文) arxiv.org
最後に
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